腎臓って、どんな臓器?
腎臓は主に尿を作っている臓器です。腎臓の主な働きは、
- 血液を濾過し、不要になった物質や毒素を尿として排泄
- 水分やミネラルの調整
- 骨やミネラルの代謝・調整
- 造血ホルモンを分泌し、血液量を調整
血液を濾過するのは糸球体という腎臓の組織です。
腎機能は、この糸球体の濾過量を測定し、血清クレアチニン値という検査結果に表れます。
なお、水やミネラルの調整や造血ホルモンの分泌は尿細管という組織で行われています。
上記の組織が障害されると最終的に腎臓が機能しなくなり、尿が作られなくなります。
そうすると体内に毒素が溜まり、吐き気や食欲不振、むくみ等が起こります。
腎臓病の恐ろしいところは、末期状態になるまで症状に乏しいことです。
糖尿病と腎臓病
糖尿病の合併症の一つに腎臓病(糖尿病性腎症)があります。
当院では定期採血に加え、定期的に尿中アルブミンや尿中タンパクの定量検査を行い、糖尿病性腎症の評価を行います。
また腎臓病による貧血に対する治療も行ってまいります。
糖尿病性腎症とは
糖尿病は病状が進行すると腎機能が悪化し、やがて腎不全を引き起こします。
腎不全が初期の場合は、自覚症状がほとんどありません。
むくみ等の自覚症状が出る頃には、かなり病状が進行してしまっていることが多いです。
腎機能はほとんどのケースで残念ながら改善することはなく、最終的に尿が作れなくなり、その結果体内に老廃物が溜まり、尿毒症を引き起こします。
そして人工透析で血液の毒素を濾過し、浄化する治療が必要となります。
なお、現在人工透析の患者さんの原因疾患で最も多いのは糖尿病性腎症です。
糖尿病性腎症の治療については、食事療法と運動療法および薬物療法等を基本として血糖のコントロールをしっかり行い、悪化させないように留意することが大切です。
高血圧と腎臓病(高血圧性腎硬化症について)
高血圧を原因とする腎障害が「高血圧性腎硬化症」です。
高血圧が長い期間にわたって続くと、腎臓の血管に動脈硬化が生じます。
そして血管の内側が狭くなり、腎臓を流れる血液量が減少し腎臓は萎縮して硬くなり、その機能も低下してきます。
これが高血圧性腎硬化症の発症メカニズムです。
高血圧性腎硬化症の治療
高血圧性腎硬化症の治療の基本は、血圧コントロールです。
そのためには減塩や減量、禁煙といった生活習慣の改善や適切な降圧薬による治療が必要となります。
このような高血圧の治療とともに、併行して定期的に血液や尿検査による腎機能評価を行うことも、高血圧性腎硬化症を進行させないための大切なポイントです。