呼吸器内科とは

呼吸器内科は、肺や気道(気管・気管支)、胸膜などの呼吸 器に関する疾患を診断・治療する診療科です。呼吸に関わる症状や病気を扱い、感染症から慢性疾患、腫瘍まで幅広い疾患が対象になります。
対象となる疾患
1.感染症
- 肺炎(細菌性肺炎、ウイルス性肺炎など)
- 結核
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
2.慢性疾患
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)(肺気腫・慢性気管支炎を含む)
- 間質性肺炎・肺線維症
3.腫瘍(がん)
- 肺がん
- 縦隔腫瘍
4.その他の疾患
- 睡眠時無呼吸症候群
- 気胸(肺に穴が開く病気)
- びまん性肺疾患(サルコイドーシスなど)
- 職業性肺疾患(じん肺、アスベスト肺など)
主な症状例
気管支喘息
気管支喘息は、気道(空気の通り道)が慢性的に炎症を起こし、繰り返し発作的に咳や喘鳴(ぜんめい)、息苦しさなどが起こる病気です。
気道が炎症を起こすと、少しの刺激(冷気、ホコリ、運動、タバコなど)でも敏感に反応し、気道が狭くなって呼吸が苦しくなるのが特徴です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは、長年にわたる喫煙などによって肺がダメージを受け、呼吸がしづらくなる慢性の肺の病気です。
主に以下の2つの病態が合わさったものです。
- 慢性気管支炎:
気道(空気の通り道)が炎症を起こして、痰が出やすくなる - 肺気腫(はいきしゅ):
肺胞(空気を取り込む袋)が壊れて、酸素を取り込みにくくなる
肺炎
肺炎は、細菌やウイルスなどの感染によって肺に炎症が起こる病気です。
具体的には、空気を取り込む「肺胞(はいほう)」に炎症が起こり、発熱、咳、痰、呼吸困難などの症状が現れます。
肺結核
肺結核は、結核菌(けっかくきん)という細菌に感染して肺に炎症が起こる感染症です。
かつては「国民病」と呼ばれましたが、現在も毎年1万人以上が発病している日本国内でも身近な病気です。
肺がん
肺がんは、肺の細胞ががん化して異常に増殖する病気です。
日本ではがんによる死亡原因の第1位で、特に喫煙と強い関連がありますが、非喫煙者でもかかる可能性があります。
間質性肺疾患
間質性肺疾患(ILD)は、肺の「間質(かんしつ)」と呼ばれる、肺胞(空気の袋)と毛細血管の間にある組織が炎症や線維化(硬くなること)を起こす病気の総称です。
肺が硬くなってしまうため、酸素をうまく取り込めず、息切れや乾いた咳が出るのが主な特徴です。
診断・検査
呼吸器内科では、症状や病歴をもとにさまざまな検査を行います。
- 胸部X線(レントゲン)
- CTスキャン(より詳しく肺の構造を確認)
- 肺機能検査(肺活量や呼吸の流れを測定)
- 喀痰検査(痰の細菌・がん細胞の有無を調べる)
- 血液検査(炎症や酸素の状態を確認)
- 終夜睡眠ポリグラフィー(睡眠時無呼吸症候群の検査)
治療方法
疾患によって治療法は異なりますが、主に以下のような方法があります。
- 薬物療法(抗生物質、吸入ステロイド、気管支拡張薬など)
- 酸素療法(在宅酸素療法など)
- リハビリテーション(呼吸リハビリテーション)
- 手術(肺がんや気胸などの場合)
- 放射線治療・化学療法(肺がん治療)
呼吸器の病気は進行すると治療が難しくなることも多いため、気になる症状があれば早めに呼吸器内科を受診することが大切です。