尿酸と高尿酸血症
プリン体とは食べ物全般に含まれる旨み成分のことです。
尿酸はそのプリン体が体内で分解されてできた代謝産物です。
1日に体内で産生される尿酸はおよそ700mgといわれております。
1日で排泄される尿酸の量も700mgなので,体内の尿酸は常に一定の量に保たれています。
体内での尿酸の産生が排泄を上回ると痛風の原因である「高尿酸血症」を発症します。
高尿酸血症とは
血清尿酸値の正常範囲は男性で4.0~6.0mg/dl、女性で3.0~6.0mg/dlです。
そこで血清尿酸値が7mg/dl以上になると「高尿酸血症」と診断されます。
7mg/dl以上になると尿酸の血液中への溶解度が飽和状態になり、結晶化する可能性があります。
8.5mg/dl以上になると痛風発作が起こりやすくなり、尿酸値を低下させる治療が必要となります。
尿酸値が高いほど心血管疾患のリスクが高まることが知られており、早期の治療をお勧め致します。
痛風とは
上記の高尿酸血症が続くことにより、関節や腎臓などに尿酸が沈着します。
その結果、急性関節炎や痛風結節、尿路結石、腎機能障害などが引き起こされます。
痛風発作とは、血液中の尿酸が飽和状態になって関節内で結晶としてたまると、異物である尿酸結晶を白血球が除去しようとして関節に炎症が起こるのです。
そして針状の結晶が体のあちこちに溜まっていき、特に足の親指の付け根までいくと赤く腫れて激しい痛みを引き起こします。
これが「痛風」です。
この痛みはとても強く、多くの患者さんはこの強い痛みの発現によって、慌てて来院される場合が多いのです。
また、最近では血中の高尿酸状態は心血管障害や腎不全、動脈硬化の原因になることもわかってきており注意をする必要があります。
特に尿酸は腎臓で濾過されるので、尿酸値が高くなり濾過しきれなくなってくると徐々に腎臓の働きそのものが障害されてしまうために早めの治療が肝要です。
高尿酸血症と痛風の治療
治療につきましては、まず尿酸値を下げることが大切です。
それには食事療法として、尿酸のもととなるプリン体や糖質を多く含む食品の摂取を控える必要があります。
なお、プリン体を多く含む食材は以下の通りです。
- レバー類
- 干し椎茸
- 魚卵類
- えび
- かつお
- いわし
- ビール等のアルコール飲料 など
食事療法により、改善を認めない場合や既に非常に高い尿酸値を認める場合、あるいは痛風発作を認める場合等では尿酸の生成を抑制する薬、尿酸の排泄を促す薬等を服用します。
ただやはり検査で原因を診断してから適切な治療を選択することが大切です。